はじめに

この「Excel講座」は視覚障害者が、スクリーンリーダーを使って、Excelを操作する方法の手引きです。視覚障害者は、基本的にマウスが使用できません。ですから、この講座のテキストはキー操作だけでExcelを操作する記述になっています。Excelには、標準で非常に多くのショートカットキーが用意されており、ほとんどの操作がマウスを使わないで出来るようになっています。

Excel(エクセル)の正式名称は、「Microsoft Office Excel」と言います。2007年6月現在の最新バージョンは「Excel 2007」です。ところがこの「Excel 2007」は、Windows XPで使えるスクリーンリーダーのPC-Talker XPやXP-Reader Ver6では、うまく使えません。また、Excel 2007からはメニューバーの構造が大幅に変わっていて、慣れないとこれも使いにくくなっています。そこで、今回の「Excel講座」は「Excel 2003」を使用します。Excel 2000,2002,2003は大体同じ操作で出来ますが、ダイアログのメニュー項目などが少し違う事も有ります。Excel 2000をお使いの方も多くおられると思いますので、大きく違う所はExcel 2000の操作方法も付け加えたいと思っています。

これからの「Excel講座」の中で、「Excel」と言うのは「Excel 2003」の事だと思ってください。なお、この講座を書くに当たって、私が使用するスクリーンリーダーは「XP-Reader Ver6」です。

さて、「Excel」とはどんなソフトなのでしょうか。ソフトの種類には、「ワープロソフト」、「エディタ」、「メーラー」、「ブラウザ」…など沢山ありますが、Excelは「表計算ソフト」と言う種類のソフトです。この「表計算ソフト」とは、表の中に書かれた数字の縦横の集計などを、簡単に行なう事を目的にしたソフトです。ところが、現在のExcelは、どんどんと色々な機能が追加されて行き、「簡易データベース」の機能も備えています。このため、多くの企業のオフィスなどで盛んに使われているのです。

では、具体的にExcelではどんなことが出来るのでしょうか。普通のソフト、例えばエディタなどは文章を書くだけのソフトです。ですから、使用方法を覚えればそれでよかったのです。ところが、Excelは色々な形に変化します。ですから、どのように使うかは、使う人がそれぞれ考えてアイディアを出さないとなりません。

このような説明では、よく分からないと思いますので、具体的な例を思いつくままに上げておきます。「簡易金銭出納帳」、「お小遣い帳」、「プロ野球の順位表」、「住所録」、「治療院の患者名簿」、「簡易カルテ」、「成績表」、「CDリスト」、「カレンダー」、「日記帳」、「スケジュール表」、「見積書」、「納品書」、「領収書」、「売り上げ表」、「備品リスト」…、きりがありませんね。同じ「住所録」でも、作る人によって単に住所を整理した物から、はがきや、ラベルに印刷が出来るようにした物など、アイディアによって色々と出来ます。これからExcelの操作を勉強して、自分のアイディアを駆使して、Excelを色々な物に変化させて使ってください。Excelは、単純に使うだけのソフトではなく、考えて使うソフトです。とても楽しいソフトです。

これからの、講座の進め方を書いておきます。
「Excel講座・基礎編」ではExcelの基本操作を書きます。
「Excel講座・実用編」、こちらが講座のメインになると思われます。実際に、「お小遣い帳」、「住所録」などと言った具体的な例を挙げて操作を書いてゆきます。
「Excel講座・印刷編」、Excelの印刷の設定方法を書きます。
「Excel講座・マクロ編」、Excelにはマクロと呼ばれる、様々な操作を一括して処理ができるプログラムを作る機能が有ります。この作り方を知っておくと、Excelがさらに強力なソフトになります。でも、少し難しいので基本だけを書いておきます。本格的に勉強したい方は別メニューにします。

視覚障害者もスクリーンリーダーで、このExcelが一部の機能を除いて使えます。この多機能なソフトが使えるようになることにより、就労の支援になることをも願っております。


 視覚障害者のためのExcel講座へ戻る  次の項目へ